Letter 生化学:疎水性化合物のタンパク質チャネル壁を通る膜貫通移動 2009年3月19日 Nature 458, 7236 doi: 10.1038/nature07678 疎水性化合物を輸送する膜タンパク質は多剤耐性に重要な役割を担っており、また多くの病気の原因となることがあるのは、疎水性化合物のタンパク質による輸送の重要性を明確に示している。疎水性化合物は通常の膜脂質二重層に容易に入りこみ、水を含むタンパク質チャネルを通した輸送はエネルギー的に起こりにくい。疎水性の基質に関しては、側方拡散による脂質二重層からの取り込みを含む別の輸送モデルが提案されている。今までのところ、側方拡散による機構が提案されている輸送タンパク質はすべて、排出ポンプとして機能すると考えられている。今回我々は、大腸菌(Escherichia coli)外膜長鎖脂肪酸輸送体FadLによる、疎水性基質の取り込みの、側方拡散による機構の最初の例を報告する。バレル壁内の側方開口部がふさがっているが、ほかの点では野生型のFadLと構造的に同一なFadL変異体は、基質の輸送を行わない。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来のFadLの結晶構造では、β-バレルの壁中の開口部が保存されていることが示され、また細胞外の環境から極性をもつリポ多糖層を通り、バレル壁内の側方開口部を介して脂質二重層に取り込まれた基質がペリプラズムへ拡散するという基質通過にかかわる、長い疎水的なトンネルが明らかにされる。FadLのホモログは病原菌や生分解性微生物にもみられるので、我々の結果は、細菌感染との戦いや、環境内での細菌による生体異物浄化処理にかかわりがある。 Full Text PDF 目次へ戻る