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神経:ショウジョウバエ脳での風と近接音との異なる感覚表現

Nature 458, 7235 doi: 10.1038/nature07843

ショウジョウバエの風に対する行動応答は、野生種の分散や集団遺伝学的性質の制御、飛翔中の運動制御などに重要な役割をもっていると考えられているが、その神経生物学的基盤は明らかでない。キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)に自然環境内で通常出会うような速さの気流を当てると、野外で捕獲したショウジョウバエと同様の、風に誘発される強い移動抑制応答を示す。今回、これまで近接音の検知にかかわるとされてきた、触角の機械刺激感覚構造であるジョンストン器官内に、風感受性のニューロンを発見した。ジョンストン器官内のさまざまなニューロン群を標的とするエンハンサートラップ系統群と、遺伝的に組み込んだカルシウム濃度依存性蛍光タンパク質とを用いて、風と近接音(求愛歌)がそれぞれ別のニューロン群を活動させることを見いだした。これらのニューロン群は、脳内の触角機械感覚野の異なる領域に投射している。風感受性のジョンストン器官ニューロンを毒素遺伝子を使って選択的に除去すると、聴覚は損なわれることなく、風に誘発される強い移動抑制応答が消失した。さらに、風感受性ニューロン集団内のいくつかのグループは、空気流による触角端刺の異なる方向への屈曲に選択的に応答し、触角機械感覚野の異なる領域に投射して、脳内に原初的な風向マップを形成していた。重要なことに、ジョンストン器官の音感受性と風感受性ニューロンは、異なる固有の応答特性を示す。前者は触角端刺の小さな両方向性の変位に一過的に応答し、後者はより振幅が大きく一方向性の静的な屈曲に持続的に応答する。これらの異なる固有特性は、近接音によるパルス状の空気振動と、風による層状の空気流を検知するのに、それぞれよく適合している。これらの知見から、これまで主に聴覚に関与するとされてきた構造であるジョンストン器官内に、風感受性ニューロンがあることがわかり、1つの感覚器官を用いながら、脳がどのようにして空気粒子の異なるタイプの動きを識別するかが明らかになった。

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