Letter 物性:ビスマスにおける原子運動および無秩序化の電子による加速 2009年3月5日 Nature 458, 7234 doi: 10.1038/nature07788 超高時間分解能のX線回折法や電子線回折法によって、レーザー励起により誘発される固体の構造変化を、原子レベルで直接マッピングできるようになった。これにより、相転移中の固体の格子ダイナミクスについて、新しい知見が得られている。例えばアルミニウムでは、フェムト秒光励起は、格子のポテンシャルエネルギー面にほとんど影響を及ぼさないが、融解は、励起電子と当初は低温だった格子との間の熱エネルギー移動に支配される。これに対して半導体では、約10パーセントの価電子の励起により、伝導帯の反結合性によって非熱的格子崩壊が起こる。材料によって異なるこれらの応答は、ビスマスなどのパイエルスひずみ系が強励起に対してどのように応答するかという、興味深い疑問を起こさせる。A1g格子モード励起時のビスマスの原子配置の時間発展は、結晶のパイエルスひずみ方向の原子の減衰振動を伴い、よく調べられてきた。しかし、実際のビスマスの融解は、まだ研究されていない。今回我々は、結晶ビスマスがレーザー誘起融解時に起こす構造変化の、フェムト秒電子線回折研究について報告する。相転移のダイナミクスは励起強度に強く依存しており、最高励起では190フェムト秒以内(すなわち非摂動A1g格子モードの周期の半分以内)に融解が起こることがわかった。この融解過程の予想外の速さは、レーザーによって誘発される格子のポテンシャルエネルギー面の変化によって、格子の縦方向に原子が強く加速され、この運動と不安定な横振動モードが効率よく結合することによるもの、と我々は考えている。すなわち、結晶ビスマスの原子運動は、サブ振動タイムスケールで固体-液体相転移が起こるように、電子によって加速することが可能である。 Full Text PDF 目次へ戻る