Letter 細胞:N-WASPの交換速度が、ARP2/3複合体依存性のアクチンを介する運動を制限する 2009年3月5日 Nature 458, 7234 doi: 10.1038/nature07773 細胞の運動能を理解するには、アクチンの重合を調節するシグナル伝達ネットワークの位置だけでなく、その動態を詳細に知る必要がある。しかし、シグナル伝達ネットワークの多くは、一過性であり散在していることが多いために、このような解析がうまく行えない。これに対して、アクチンが介在する運動を行う病原体が用いるシグナル伝達経路は、局在性が高く、構成的に機能している。我々はこのことを利用して、ニューロンのウィスコット・アルドリッチ症候群タンパク質(N-WASP)、WASP結合タンパク質(WIP)、GRB2、NCKの動態を、光退色後の蛍光回復を調べる方法で解析した。これらのタンパク質は、ワクシニアウイルスのアクチン関連タンパク質(ARP)2/3複合体に依存した、アクチンを介する運動の刺激に必要である。本論文では、4つのタンパク質すべてがそれぞれ速度は違うものの急速に交換を行っており、N-WASPの代謝回転が、N-WASP自身のもつ、ARP2/3複合体を介したアクチン重合促進能力に応じて決まることを明らかにする。逆に、N-WASPとGRB2、またはアクチンフィラメントの反矢じり端との結合を破壊すると、N-WASPの交換速度が速まり、ウイルスの運動が速くなる。これらの結果から考えると、N-WASPの交換速度は、ARP2/3複合体に依存して起こるアクチンを介した運動の速度を、アクチンフィラメントのキャッピングと拮抗してアクチン重合の程度を調節することにより制御しているらしい。 Full Text PDF 目次へ戻る