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海洋:海洋植物プランクトンはリンの欠乏に応じて、リンを含まない脂質を用いる

Nature 458, 7234 doi: 10.1038/nature07659

リンはすべての生物の増殖に欠かせない必須元素で、海洋プランクトンにおけるリンの主要な生化学的貯蔵物質には核酸とリン脂質が含まれる。しかしながら、真核植物プランクトンとシアノバクテリア(まとめて「植物プランクトン」と総称)は、環境中にリンが乏しい場合に細胞のリン含有量を減らすことができる。植物プランクトンが、自身のリン要求量を制限してもなお増殖を維持できるようにする生化学的機構は、ほとんどわかっていない。本論文では、リンが乏しい貧栄養海洋の複数の海域では、植物プランクトンはリン脂質をリンを含まない膜脂質で代用することによって、細胞のリン要求量を減らしていることを示す。リン酸塩濃度が10 nmol l−1未満のサルガッソー海では、リン酸塩取り込み量のうち、リン脂質合成に使われたのはわずか1.3±0.6%だったが、対照的に、リン酸塩濃度が100 nmol l−1を超える南太平洋亜熱帯環流の植物プランクトンでは、17±6%が使われていることがわかった。これら2つの海域で植物プランクトンの膜脂質を調べてみると、南太平洋よりもサルガッソー海のほうがリンを欠き、硫黄と窒素を含む種々の膜脂質が多いことが明らかになった。加えて、リンを制限した培地中で調べたすべての植物プランクトン種では、リンを含まないこれらの「代用脂質」が優勢となった。一方、調べた海洋性従属栄養細菌は代用脂質を含まず、リン脂質のみを含んでいた。したがって、サルガッソー海のような貧栄養海域で栄養素をめぐって植物プランクトンと競合している従属栄養細菌は、リンを生化学的に必要としているとみられ、植物プランクトンは代用脂質を使用することでそうした要求を回避している。これらの結果から、リン脂質の置き換えは、植物プランクトンがリンの制限に直面した場合に増殖を維持できるようにする、基本的な生化学的機構であることが示唆される。

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