Letter

神経:鳴禽の発声学習の初期にみられる睡眠と感覚運動の統合

Nature 458, 7234 doi: 10.1038/nature07615

行動研究では、さまざまな行動の学習において睡眠が記憶の固定に関与することが示されている。睡眠中には、脳の複数の領域が再活性化し、入眠前の覚醒時の行動中に観察された神経活動パターンと一致する特異的な神経活動パターンが再生されている。鳴禽のさえずり学習は、技能学習についての典型的なモデル系の1つである。ゼブラフィンチ(Taeniopygia guttata)の幼鳥のさえずりの発達では、さえずり行動に睡眠に依存した概日的変動がみられるのが特徴であり、覚醒直後のさえずり構造は乱れるが、その後、日中になって回復する。睡眠中の成鳥では、弓外套大細胞核(RA)にある前脳前運動ニューロンの自発的な連続発火活動が、日中のさえずり情報を伝えている。本論文では、ゼブラフィンチ幼鳥に、「手本」となる成鳥のさえずりを日中に再生して聴かせると、その夜の睡眠中、RAニューロンの連続発火活動に、手本のさえずりに特異的な大きな変化が起こることを示す。この夜間のニューロン活動変化は、翌日になって初めてみられる、手本のさえずりに誘発された変化に先立って起こっていた。聴覚フィードバックを遮断すると、睡眠時の連続発火は大きく抑えられ、手本のさえずりに特異的なニューロン活動の再構成も阻害された。したがって、夜間のニューロン活動は、さえずりの手本(感覚鋳型)と聴覚フィードバックとの相互作用によって整形され、夜間の活動変化は発声学習に伴う練習の開始より前に起こっていることになる。我々は、発声学習の一部として、夜間の連続発火が睡眠中の前運動ネットワークに適応的変化を引き起こす、という仮説を立てた。この仮説では、夜間の感覚情報の再生によって駆動される適応的変化と、日中の感覚フィードバックの評価によって駆動される適応的変化とが相互作用して、さえずり発達の初期にみられる複雑な概日パターンを生み出すと考える。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度