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生化学:ピロリジルtRNA合成酵素とtRNAPylの複合体構造から明らかになった翻訳直交性の分子基盤

Nature 457, 7233 doi: 10.1038/nature07611

22番目の天然アミノ酸であるピロリシン(Pyl)は、UAG終止コドンにより遺伝的にコードされており、独自のサプレッサーtRNAPylによりタンパク質に取り込まれる。古細菌メタノサルシナ属(Methanosarcinaceae)はPylを生成し、Pylを含むメチルトランスフェラーゼを発現して、メチルアミンによる生育を可能としている。相同性のあるメチルトランスフェラーゼやPyl生合成・翻訳のための分子装置は、2種類の細菌でも見つかっている。Pylへの遺伝暗号翻訳は、Pyl-tRNAPylの生成を触媒するピロリジルtRNA合成酵素(PylRS)により行われている。Pylは、最近になって遺伝暗号に付加されたのではない。PylRSは生命の最後の共通祖先に既に存在しており、メチルアミンをエネルギー源として用いる生物に残存している。最近のタンパク質工学の取り組みにより、非天然のアミノ酸が遺伝暗号へ加えられた。この技術は、「直交性」をもつように進化したtRNA合成酵素とtRNAのペアに依存しており、このペアは、遺伝子操作により変異を導入されたアミノアシルtRNA合成酵素(aaRS)がほかと反応せず、選択的に非天然アミノ酸で直交性をもつtRNAをアシル化することにより成立している。Pylに対しては、30億年ほど昔にそのような系が自然の進化過程で発達してきた。大腸菌(Escherichia coli)へ形質転換すると、メタン生成古細菌(Methanosarcina barkeri)のPylRSとtRNAPylin vivoで直交性をもつペアとして機能する。今回我々は、細菌Desulfitobacterium hafniense由来のPylRSとtRNAPylが、in vitroおよびin vivoで直交ペアであることを示し、この直交性をもつペアの結晶構造を明らかにする。PylRSとtRNAPylが古代に出現したために、タンパク質とtRNA双方で独特の構造的特徴が進化してきた。これらの構造的要素は、ほかの知られているaaRS-tRNA複合体に見いだされる相互作用表面と非常に異なった、複雑で特殊化されたaaRS-tRNAの相互作用表面を示しており、この一般的な性質が翻訳直交性の分子基盤の基礎となる。

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