Letter

細胞:生きている細胞での膜脂質のナノスケール動態の直接観察

Nature 457, 7233 doi: 10.1038/nature07596

コレステロールを介した脂質の相互作用は、シグナル伝達のような、膜と関連した多くの過程で機能的な役割を担っていると考えられている。脂質のナノドメイン(ラフト)については、いくつかの実験によりその存在が示されているが、生きている細胞に適した検出技術がないために、いまだに議論が続いている。ナノドメインの推定サイズも、5〜200 nmという光学顕微鏡の分解能限界とタンパク質複合体の広がりの間にまたがっていて、決着がついていない。今回我々は、生きている細胞の細胞膜上のナノサイズの領域内を拡散する、1つの(脂質)分子を検出できる誘導放出制御(STED)ファーフィールド蛍光顕微鏡の能力を実証した。プローブ領域を回折限界の約70分の1以下のスポットサイズに調整することで、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型タンパク質が、グリセロリン脂質と異なり、直径20 nm以下の範囲のコレステロールが作る分子複合体領域に一時的に(約10〜20 ms)捕捉されることが明らかになった。調節可能なナノスケールドメイン中での分子の時間的追跡やゆらぎデータの非侵襲的光学記録は、生きた細胞での生体分子の動態研究のための強力な新手法である。

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