地球規模で変化する環境に対する陸上の植生の応答は、将来の大気中二酸化炭素量予測の中心となる。熱帯林は炭素密度と生産性が高いため、その役割は極めて重要である。アマゾン川流域の森林資源調査区では、最近数十年で老齢林における炭素貯蔵量が増加したことが示されているが、世界の3分の1を占めるアフリカの熱帯林の応答は、広域にわたる観測ネットワークが存在しないためにほとんどわかっていない。本論文では、アフリカの熱帯林における10カ国にわたる長期モニタリング調査区のネットワークから得られたデータを報告する。1968年から2007年の期間に、79調査区(163 ha)では、生きた樹木の地上部の炭素貯蔵量が0.63 Mg C ha−1 yr−1(95%信頼区間(CI):0.22〜0.94、平均間隔:1987〜1996年)増加したことがわかった。これを未測定の森林要素(生きた根、小樹木、ネクロマス)に外挿し、大陸全体に換算すると、アフリカの熱帯林の樹木による炭素貯蔵の増加量は合計で、0.34 Pg C yr−1(CI:0.15〜0.43)と推測される。今回報告する炭素貯蔵量の変化は、アマゾン川流域の森林に関して報告されている単位面積あたりの数値と同等であり、老齢林の炭素貯蔵量の増加が熱帯地方に一般的な現象である証拠となる。実際、本研究と熱帯アメリカおよび熱帯アジアの標準化森林資源データを総合すると、0.49 Mg C ha−1 yr−1(n =156、562 ha、CI:0.29〜0.66、平均間隔:1987〜1997年)という、ほぼ同じような数値が得られる。これは、最近数十年で熱帯林が総計1.3 Pg C yr−1(CI:0.8〜1.6)の炭素シンクとなっていることを示している。アフリカの森林資源などのデータに関する分類群特異的な解析結果は、一部の理論やモデルが予測しているように、大気中二酸化炭素濃度の上昇などの利用可能な資源量の広汎な変化が、炭素貯蔵量の増加の原因である可能性を示唆している。