Letter 生理:核膜孔複合体の輸送選択性を模倣する人工ナノポア 2009年2月19日 Nature 457, 7232 doi: 10.1038/nature07600 核膜孔複合体(NPC)は、核と細胞質の間の効果的でロバストな出入り口として働いており、特定の巨大分子を選択的に核膜を通過させる。NPCは、核と細胞質を結ぶ直径約30 nmの通路を囲む精巧な足場を作っている。この足場は、「フェニルアラニン-グリシン」(FG) -ヌクレオポリンと呼ばれるタンパク質の元来無秩序なドメインをつなぎとめており、これが通路の内側を覆って内腔へと広がっている。この裏打ちされた通路を通る受動的拡散は、物質のサイズに依存する制約を受ける。ところが、輸送因子とその積荷物質が結合した複合体は、FG-ヌクレオポリンに一過的に結合することで、この制約から逃れている。選択的輸送には、単なる通路と輸送因子を結合するFG-ヌクレオポリンの裏打ちだけがあれば十分なのかどうかを検討するために、我々は、これら2つの要素だけを組み入れた機能性膜を設計した。本論文では、この膜がナノ選択性フィルターとして機能し、FG-ヌクレオポリンに特異的に結合する輸送因子と輸送因子-積荷物質複合体は効率的に通過させる一方、FG-ヌクレオポリンに結合しないタンパク質の通過を大きく阻害することを示す。この阻害は、輸送因子が存在すると著しく増強される。選択性の決定因子には、通路の直径、FG-ヌクレオポリンによって覆われたナノポア領域の長さ、FG-ヌクレオポリンへの結合強度、およびFG-ヌクレオポリンに特異的に結合しないタンパク質の通過に対する輸送因子の拮抗作用などがある。この人工的なシステムは、輸送因子が仲介する積荷物質取り込みなどのNPCを介した輸送の重要な性質を、忠実に再現している。 Full Text PDF 目次へ戻る