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がん:代謝プロファイルから示されるサルコシンの前立腺がん進行への関与の可能性

Nature 457, 7231 doi: 10.1038/nature07762

がんの発生と進行は、複数の複雑な分子的事象を特徴とする。がんを臓器限局性と転移性に区別している分子ネットワークの解明により、がんの浸潤性と侵襲性に対する重要なバイオマーカーを同定できる可能性がある。ヒト腫瘍での遺伝子とタンパク質の発現は、詳しいプロファイリングが行われているが、腫瘍の進行を特徴付けるメタボロームの包括的な変化については、ほとんど明らかにされていない。我々は、ハイスループットの液体およびガスクロマトグラフィと質量分析とを組み合わせて、前立腺がんに関係する262個の臨床検体(組織42検体、並びに尿および血漿各110検体)から得た1,126個を超える代謝物のプロファイリングを行った。これらの偏りのないメタボロームプロファイルにより、良性の前立腺がん、臨床的に限局性の前立腺がんと転移性疾患とを識別することができた。アミノ酸であるグリシンのN-メチル誘導体であるサルコシンは、前立腺がんの転移性への進行に伴って大幅に増加し、尿中で非侵襲的に検出可能である。侵襲性の前立腺がん細胞株でも、良性の前立腺上皮細胞に比べるとサルコシン濃度が上昇していた。グリシンからサルコシンを生成する酵素グリシンN-メチルトランスフェラーゼをノックダウンすると、前立腺がんの浸潤は減少した。外部からのサルコシンの添加、またはサルコシン分解につながる酵素サルコシンデヒドロゲナーゼのノックダウンにより、良性の前立腺上皮細胞に侵襲性の表現型が誘導された。アンドロゲン受容体とERG遺伝子融合産物は、サルコシン経路の構成成分を協調的に制御している。今回我々は、前立腺がん進行におけるメタボロームの変化をプロファイリングすることで、サルコシンが、がん細胞の浸潤性と攻撃性の重要な媒介手段である可能性を明らかにした。

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