Letter 化学:イオン性高圧型の元素ホウ素 2009年2月12日 Nature 457, 7231 doi: 10.1038/nature07736 ホウ素は、興味深い化学的複雑性をもつ元素である。1808年にその発見が発表されて以来、この元素をめぐってさまざまな議論が起こってきた。発見時の「元素」は、実は、ホウ素含有量が60〜70%未満の化合物であることが判明したのである。純度99%のホウ素が初めて得られたのは1909年になってからである。今では少なくとも16の多形が知られているが、ホウ素の安定相は、周囲条件でもまだ実験的に確定されていない。ホウ素の複雑性は、フラストレーションに起因する。ホウ素は、周期表で金属と絶縁体の間に位置しており、価電子は3個しかなく、金属性を示しやすいと思われるが、これらの荷電子は十分局在化しているため、絶縁状態が現れる。しかし、この金属状態と絶縁状態の間の微妙なバランスは、圧力、温度、不純物によってすぐに変化する。今回我々は、高圧実験および進化的ab initio計算による結晶構造予測を行い、圧力下のホウ素の構造的安定性を調べたことについて報告する。これにより、部分的にイオン性という注目すべき高圧ホウ素相が明らかになった。この新しい相は、19 GPaから89 GPaの間で安定で、周囲条件までクエンチが可能であり、これまでに知られていない二十面体B12クラスターとB2対からなるNaCl型配置の構造(空間群Pnnm、単位胞あたり28原子)をとる。この相のイオン性は、電子バンドギャップ、赤外吸収、および誘電率に影響を及ぼし、イオン性はB2対とB12クラスターの異なる電子特性、およびそれによって起こる、対とクラスター間の電荷移動に起因することが見いだされた。 Full Text PDF 目次へ戻る