Letter

生理:ストレス応答性RNAスイッチがVEGFAの発現を調節する

Nature 457, 7231 doi: 10.1038/nature07598

メッセンジャーRNAの非翻訳領域中にある構造エレメントにリガンドが結合すると、遺伝子発現が変化する。遊離の代謝物あるいはほかの小型分子といったリガンドは、リボスイッチと呼ばれる調節性RNAエレメントに直接結合してコンホメーション変化を引き起こす。ほかのRNAスイッチは、複合体を形成した代謝物(例えば、Tボックス系におけるアミノアシル化tRNAのようなRNAと結合した代謝物や、グルコースあるいはアミノ酸が刺激するターミネーター/アンチターミネーター系でのタンパク質と結合した代謝物など)によって活性化される。細菌、菌類、植物では、このようなスイッチのすべての種類が見つかっている。本論文では、ヒト血管内皮増殖因子A(VEGFAVEGFとも呼ばれる)のmRNAの3′非翻訳領域(UTR)に存在するRNAスイッチについて報告する。このスイッチは、骨髄系細胞でインターフェロン(INF)-γと低酸素状態からのシグナルを統合し、VEGFAの翻訳を調節する。リボスイッチと同じように、このVEGFA3′UTRは、環境からのシグナルに応じて2つのコンホメーションのどちらかをとる。しかし、このVEGFA3′UTRスイッチは代謝物には依存しない。IFN-γにより活性化される翻訳複合体阻害因子とヘテロ核リボ核タンパク質L(HNRNPL、hnRNP Lとも呼ばれる)という2種類のタンパク質が、刺激に依存して相互に排他的に結合することによって、コンホメーション変化が起こる。VEGFAスイッチは、シグナルを介して働くタンパク質に依存したRNAスイッチのファミリーの創始的メンバーの1つであると考えられ、応答の迅速さよりも、種々の異なる入力の正確な統合が重視される多細胞動物において遺伝子発現を調節するために進化してきたものだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度