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免疫:プロテインキナーゼRから明らかになったウイルスの擬態を打ち負かすための進化的モデル

Nature 457, 7228 doi: 10.1038/nature07529

自己と非自己の識別は、生物にとって極めて重要な問題である。多くの病原体は、擬態により自己識別の仕組みを利用して、細胞周期、アポトーシス、細胞骨格の動態などの重要な細胞過程を崩壊させるが、その中には免疫を妨害する擬態もある。ポックスウイルスは、プロテインキナーゼR(PKR)の基質であるeIF2αを模倣したタンパク質K3Lをコードしており、eIF2αは脊椎動物の自然免疫の重要な構成要素である。PKRとK3Lの相互作用は、ウイルスの擬態という難問についてのよい例である。自己識別が有効となるには、PKRは保存された基質(eIF2α)を認識して、K3Lなどの急速に進化する基質模倣体は避けなくてはならない。我々は、PKR-K3L系と系統発生学的解析および機能的解析を組み合わせることで、宿主タンパク質が擬態を打ち負かすための進化的戦略を明らかにする。PKRは霊長類で正の選択が非常に強く働く状況下で進化したことがわかった。PKRがウイルス擬態を巧みに逃れる能力を獲得した一因は、eIF2α認識に最も密接にかかわる部位における正の選択である。また、PKR表面の複数箇所で適応変化が起こって置換のさまざまな組み合わせが生じ、これが擬態を克服する確率を上げていることもわかった。したがって、病原体は宿主細胞の構成成分を模倣することにより極めて大きな利益を得ているようにみえるが、PKRなどの宿主因子は擬態の標的となるタンパク質相互作用面に進化的柔軟性があることで、分子レベルでの「軍拡競争」で競っていくことが可能となる。

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