Letter 生理:線虫の耐性幼虫が貯蔵脂質の消費を制限して確実に長期生存するにはLKB1/AMPKが必要である 2009年1月8日 Nature 457, 7226 doi: 10.1038/nature07536 多くの生物は、過酷な環境条件のもとで長期にわたって生き延びるために、休眠状態をとることができる。線虫(Caenorhabditis elegans)の幼虫が耐性幼虫になると、摂食は停止するが活動性と運動性は維持され、しかもストレス耐性となって極めて長生きし、老化しない。耐性幼虫への移行に関連して、インスリン様シグナル伝達の低下、栄養源の蓄積とそれに伴う代謝全体の変化が起こるが、カロリー摂取なしの長期生存を可能にする分子および生理的機構の詳細はほとんど解明されていない。今回我々は、LKB1/AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)シグナル伝達が起こらない線虫の幼虫は正常に耐性幼虫になるものの、急速に貯蔵エネルギーを消費し、致命的な臓器不全を起こして早期に死んでしまうことを明らかにする。このシグナル伝達経路が脂肪様組織で働いてトリグリセリドの加水分解を下方制御し、貯蔵脂質が摂食停止の期間を通じて維持されるように消費を制限することがわかった。実際に、脂肪トリグリセリドリパーゼ(ATGL-1)の活性を抑制すると、AMPK変異耐性幼虫にみられる急激な貯蔵脂質の枯渇と寿命の短縮が抑えられる。また、AMPKはATGL-1を直接リン酸化する。さらに、耐性幼虫のゆっくりしたエネルギー放出が浸透圧の長期にわたる適正な調節に不可欠であり、貯蔵トリグリセリドが枯渇するとこれがうまくいかなくなることも明らかになった。これらの機構は、さまざまな生物の休眠、冬眠、長期飢餓状態の間の生存に極めて重要である可能性があり、また、AMPKに依存した寿命延長の基盤なのかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る