炎症性肝細胞腺腫は良性の肝臓腫瘍で、炎症性浸潤の存在と腫瘍肝細胞での炎症性タンパク質の発現上昇を特徴とする。本論文では、このような腫瘍では、インターロイキン(IL)6シグナル伝達経路が顕著に活性化されていることを示す。候補遺伝子の配列決定から、この反応が、IL6シグナル伝達経路の共受容体であるgp130をコードするIL6ST遺伝子の体細胞性の機能獲得性変異によるものであることが明らかになった。実際、炎症性肝細胞腺腫の60%に、gp130のIL-6結合部位に小さなインフレーム欠失がみられ、また、肝細胞に4つの異なる変異型gp130が発現すると、リガンドが存在しなくても、signal transducer and activator of transcription 3(STAT3)が活性化される。さらに、肝細胞がんの解析から、まれなgp130の変化には、常にβ-カテニンを活性化する変異が伴うことがわかり、これらのシグナル伝達経路が肝細胞の悪性転換において協調的な作用をもつことが示唆される。ヒト肝細胞腺腫に頻発するこのようなgp130の機能獲得性変異によって、腫瘍性肝細胞で観察される急性炎症期の誘導を完全に説明でき、STAT3の活性化がみられるほかの炎症性上皮腫瘍でもこれと同様の変化が生じている可能性が示唆される。