Letter 医学:マイクロRNA-21は繊維芽細胞でMAPキナーゼシグナル伝達を活性化することにより心筋疾患を引き起こす 2008年12月18日 Nature 456, 7224 doi: 10.1038/nature07511 マイクロRNAは多種類の低分子非コードRNAであり、相補的な標的メッセンジャーRNAの発現を調節している。いくつかの機序によるマイクロRNAの調節障害が、心疾患などさまざまな病態でみられることが報告されてきた。心疾患についてのこれまでの研究では、心筋細胞に主に発現するマイクロRNAに焦点が当てられていたが、心臓のほかの種類の細胞で発現しているマイクロRNAの役割については明らかにされていない。本論文では、マイクロRNA-21(miR-21、Mirn21としても知られている)が心臓の繊維芽細胞でERK-MAPキナーゼシグナル伝達経路を制御しており、これが全体的な心臓の構造や機能に影響を与えていることを示す。miR-21のレベルは不全心の繊維芽細胞で選択的に増加しており、Spry1(sprouty homologue 1)の阻害を介してERK-MAPキナーゼ活性を増強する。この機構が繊維芽細胞の生存や増殖因子の分泌を制御しており、間質の繊維化や心肥大の程度を調節しているらしい。マウスの圧負荷による心疾患モデルで、特異的なマイクロRNA阻害剤によってmiR-21をin vivoで抑制すると、心臓のERK-MAPキナーゼ活性が低下し、間質の繊維化が抑えられ、心機能障害が軽減した。以上の所見により、マイクロRNAは、心臓の繊維芽細胞における作用により心筋疾患を引き起こしうることが明らかとなった。我々の結果は、miR-21が心不全の疾患標的として妥当であることを示しており、心血管疾患におけるマイクロRNAによる治療介入の有効性を明らかにするものである。 Full Text PDF 目次へ戻る