Letter 植物:植物の細胞極性の形成が、エンドサイトーシス、オーキシンの分布、細胞運命の決定を結びつける 2008年12月18日 Nature 456, 7224 doi: 10.1038/nature07409 膜タンパク質の動的に変化する分布の偏りは細胞の境界を異なったものにし、細胞間の情報交換という多細胞生物の発生に不可欠な性質に重要な役割を果たしている。PINファミリーに属するシグナル伝達分子オーキシンの排出輸送体は、植物細胞の極性の目印であり、胚のパターン形成や器官形成、屈性といったオーキシン分布に依存して起こる発生過程に重要なかかわりをもっている。PINの偏在が細胞間のオーキシンの流れの方向を決めるが、PINの分布に極性が生じる仕組みはまだ明らかにされていない。今回我々は、PINの偏在がエンドサイトーシスに依存して生じる仕組みを明らかにし、これが発生にどのような意味をもつかを解析した。リアルタイムでPINを追跡したところ、PINは合成後にまず細胞膜へと運ばれるが、このときは偏在がみられず、極性はその後のエンドサイトーシスによるリサイクリングによって確立されることがわかった。オーキシンによって、あるいはシロイヌナズナのRab5 GTPアーゼ経路を操作することによってPINのエンドサイトーシスを阻害すると、PIN分布の極性化が妨げられる。PIN分布の極性化が起こらないと、胚発生の際に一時的にオーキシンの非対称分布が変化し、胚頂端部で局所的なオーキシン応答が亢進する。その結果、オーキシン経路が関連した根形成の主要調節因子が胚の子葉になる部分で異所的に発現し、葉が根になるというホメオティックな形質転換が起こる。今回の結果から、PINの分布を極性化する2段階の機構が明らかになり、この極性化にエンドサイトーシスが重要な役割を果たしていることが示された。また、エンドサイトーシスに依存した個々の細胞の極性と、多細胞生物のパターン形成におけるオーキシン分布に依存した細胞運命の決定との関連が明らかになった。 Full Text PDF 目次へ戻る