Letter 生態:硝化菌および非硝化菌と推定される古細菌類の北大西洋深層における大きな勾配 2008年12月11日 Nature 456, 7223 doi: 10.1038/nature07535 アンモニアの亜硝酸塩および硝酸塩への好気的硝化は、原核生物が仲立ちする海洋窒素循環の重要な過程の1つである。最初の硝化段階にかかわるβ-およびγ-プロテオバクテリアに属する細菌類は別として、古細菌の一群であるクレンアーキオータ(Crenarchaeota)は、土壌でも海洋でもアンモニアの亜硝酸塩への酸化の主要な担い手であることが近年認められるようになっており、このことは、古細菌アンモニアモノオキシゲナーゼ(amoA)遺伝子の優占度が細菌amoAを上回っていることで示されている。古細菌のamoA遺伝子が広範囲にわたる海洋系に一般的にみられることを示す証拠は、現在増えつつある。これらの報告は基本的にすべて、海洋表層および中層(水深200〜1,000 m)の水塊に注目したものであり、それらの層でのアンモニア濃度は1,000 m以深の水塊における濃度よりも高い。しかしながらクレンアーキオータは、アンモニア濃度が極端に低い1,000 m以深の水柱内にも多数存在する。本論文では、北大西洋全域での古細菌amoA遺伝子の数が、表層下の水塊から水深4,000 mへ向かうにしたがって、また極近くの深層水から赤道付近の深層水へ向かうにしたがって著しく減少し、クレンアーキオータの16SリボソームRNA(rRNA)遺伝子に対する古細菌amoAの比に、鉛直および緯度方向の顕著な勾配がみられることを示す。北大西洋深層では問題になるほどの数のamoA遺伝子コピーが存在せず、二酸化炭素の暗固定速度が非常に低いことから、深層に生息するクレンアーキオータの大部分が独立栄養型のアンモニア酸化者ではなく、おそらく有機物を利用して従属栄養的に生活している可能性が高いと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る