Letter 細胞:1個の成体幹細胞からの前立腺生成 2008年12月11日 Nature 456, 7223 doi: 10.1038/nature07427 前立腺幹細胞(PSC)が存在すると初めて考えられたのは、げっ歯類でアンドロゲンの欠乏と補充を繰り返すと、その後に正常な前立腺が再生することが観察されたからである。PSCが前立腺組織の完全性の維持に重要な役割を果たし、前立腺腫瘍発生にもかかわっている可能性があるとすると、正常なPSCの特異的マーカーの同定は重要である。PSC候補を特定するものとして、Sca-1(stem cell antigen-1、Ly6aとも呼ばれる)、CD133(Prom1)、CD44などいくつかの細胞表面マーカーが報告されてきた。しかし、マウス前立腺では多くの非PSCもこれらのマーカーを発現しているため、より明確にPSC集団を同定することはいまだに難しい。今回我々は、マウスの希少な成体PSC集団の新しいマーカーとして、CD117(c-kit、幹細胞因子受容体)を同定し、Lin−Sca-1+CD133+CD44+CD117+という表現型をもつ1個の幹細胞から、in vivo移植後に前立腺が再生することを明らかにする。CD117は、主としてマウス前立腺の尿道周辺領域に限って発現し、去勢による前立腺退縮後は発現が亢進する。この2つの特徴は、PSCマーカーに一致する特徴である。CD117+ PSCをin vivo移植すると、機能を持ち分泌物を生産する前立腺が生じる。またCD117+ PSCは、in vivoの単離、移植の繰り返しで証明されるように、長期にわたって自己複製能を保つ。これらのデータから、成体マウスの前立腺に存在する多能性で自己複製能をもつ単細胞は、Lin−Sca-1+CD133+CD44+CD117+という表現型をもつ細胞であることが明確になった。 Full Text PDF 目次へ戻る