Article

腫瘍:単一のヒトメラノーマ細胞による効率のよい腫瘍形成

Nature 456, 7222 doi: 10.1038/nature07567

がん生物学における根本的な問題の1つとして、ヒトのがんの中で、腫瘍形成能をもつ細胞は一般的なものなのか、それともまれなのかということがある。メラノーマなどのさまざまながんについての研究で、NOD/SCID(non-obese diabetic/severe combined immunodeficiency)マウスに移植したヒトがん細胞のうち、腫瘍を形成するものはごくわずかな割合(0.1〜0.0001%)であることが示されている。しかし、NOD/SCIDマウスで、腫瘍形成性のヒトがん細胞の割合がどの程度過小評価されているかについては、明らかではなかった。本論文では、より高度な免疫不全を示すNOD/SCID Il2rg−/−(interleukin-2 receptor gamma chain null)マウスを使用するなど、異種移植の実験条件の変更により、腫瘍形成性メラノーマ細胞を数桁高く検出できるようになることを示す。限界希釈法により、12名の患者由来の任意のメラノーマ細胞(直接患者から採取した原発性および転移メラノーマ由来の細胞)の約25%が、これらのより許容性の高い条件下で腫瘍を形成した。単一細胞の移植では、4名の異なる患者由来の任意のメラノーマ細胞の平均27%が腫瘍を形成した。したがって、異種移植実験の条件を変えることで腫瘍形成性を示す細胞の検出率を大幅に高めることが可能であり、このことは、このような細胞が一部のヒトのがんに広く存在することを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度