Letter 細胞:ヒトでは合成されない多糖の取り込みが細菌毒素に対するヒトの感受性にかかわっている 2008年12月4日 Nature 456, 7222 doi: 10.1038/nature07428 AB5毒素は、AサブユニットとBサブユニット五量体からなり、Bサブユニットは標的細胞表面の多糖に結合して毒素の取り込みを促し、Aサブユニットが真核細胞に不可欠な機能を障害するように働く。サブチラーゼ細胞毒素(SubAB)は志賀毒素産生性大腸菌(STEC)によって分泌されるAB5毒素で、ヒトに重篤な消化器疾患を引き起こす。マウスでは、SubABはSubAを介して、必須の小胞体シャペロンであるBiP/GRP78を切断し、溶血性尿毒症症候群様の病変を引き起こす。本論文では、シアル酸のN-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)が末端に存在する多糖に、SubBが強い選択性を示すことを明らかにする。このシアル酸は、ヒトでは合成されない単糖である。SubB-Neu5Gc複合体の構造から、この特異性の基盤が明らかになり、またSubBの主要な残基に変異を誘発すると、in vitroでの多糖認識、細胞への結合および細胞毒性が消失した。SubABのNeu5Gcに対する特異性は、ヒトと同じくNeu5Gcを欠損するマウス組織と、Neu5Gcを加えて培養したヒト細胞株を用いて確認された。ヒトはNeu5Gcの生合成系を欠くにもかかわらず、食餌由来のNeu5Gc摂取によって腸上皮および腎臓血管系に高親和性の受容体が形成される。このことと、Neu5Gcを含む体液競合因子がないことにより、ヒトはSubABの胃腸毒性および全身毒性に感受性となる。皮肉なことに、Neu5Gcを豊富に含む食物は、STEC汚染が最も多くみられる。つまり、細菌毒素の受容体は、食物由来の外来因子の代謝による取り込みによって産生される。 Full Text PDF 目次へ戻る