Letter

神経:麻痺した筋の皮質ニューロンによる直接制御

Nature 456, 7222 doi: 10.1038/nature07418

脊髄損傷による麻痺の治療法として、脳からの制御信号を人工的な接続によって損傷部周辺へ伝送する方法が考えられる。こうした信号が筋の電気的刺激の制御に使われれば、麻痺した四肢の随意運動を復活させられる可能性がある。従来の実験では、実際の運動または仮想的な運動に関連する運動皮質の活動を用いてコンピューター画面のカーソルやロボット腕を動かすことや、麻痺した筋を機能的な電気刺激で動かすことに、それぞれ別個に成功している。本論文では、サル(ブタオザル;Macaca nemestrina)が、運動皮質中のニューロンの活動を使って筋を直接刺激することができ、これによって、一時的に麻痺させた腕に目標到達運動を復活させたことを報告する。さらに重要なのは、ニューロンがそれまでどのような運動と関連していたのかには関係なく、この機能的刺激の制御が可能だったことで、この知見によって脳-機械インターフェースの制御信号源の選択肢は大きく広がることになる。サルは、この皮質細胞から筋への人工的接続を使って手首を両方向に回転させることを覚え、ニューロン-筋の複数対を同時に制御できるようになった。皮質活動から筋刺激へのこのような直接的変換は、自律的な電子回路で行うことも可能であり、かなり自然に近い神経プロテーゼができそうである。今回の結果は、皮質細胞と筋との人工的な直接接続によって、分断された生理的経路を補償し、麻痺した四肢の運動の随意制御に成功した最初の実例となる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度