Letter 発生:Sox18はマウスでリンパ管の発生を誘導する 2008年12月4日 Nature 456, 7222 doi: 10.1038/nature07391 リンパ系は組織液の制御や腫瘍転移に重要な役割を果たし、リンパ管の異常はリンパ浮腫、リンパ管拡張症、リンパ管腫、およびリンパ管異形成など多くの病的状態の原因となる。しかし、胚におけるリンパ系の起源やリンパ管のネットワーク形成を指示する機序については明らかにされていない。リンパ管は、リンパ管に特徴的な特徴遺伝子Prox1(prospero homeobox 1)の影響下で、主静脈から出芽する内皮前駆細胞から発生すると考えられている。転写因子遺伝子SOX18(SRY[sex determining region Y] box18)の欠損は、ヒトの貧毛症-リンパ浮腫-毛細管拡張症症候群におけるリンパ管機能不全を惹起することから、Sox18もリンパ管の発生または機能に重要な役割を果たしている可能性が考えられる。今回我々は、マウスでの分子的、細胞学的、および遺伝的測定法を用いて、Sox18がリンパ管内皮細胞の分化を誘導する分子スイッチの役割を果たすことを示す。Sox18は主静脈細胞の一部で発現し、この細胞は後にProx1を共発現して移動し、リンパ管を形成する。Sox18は Prox1の近位のプロモーターに結合することによって、その転写を直接活性化する。血管内皮細胞でSox18が過剰発現すると、Prox1および他のリンパ管内皮細胞マーカーの発現が誘導されるが、Sox18ヌルの胚では、主静脈からのリンパ管内皮細胞の分化が完全に遮断される。今回の結果は、発生におけるリンパ管新生にSox18が果たす重要な役割を明らかにし、ヒトのリンパ管障害治療研究の新たな道を示唆するものである。 Full Text PDF 目次へ戻る