Letter

細胞:53BP1はV(D)J組み換えの際に長い距離でのDNA末端連結を促進する

Nature 456, 7221 doi: 10.1038/nature07476

V(D)J組み換え(variable(可変性)、diversity(多様性)、joining(結合性)領域間の組み換え)とクラススイッチ組み換えでは、一部重複するが別個の非相同末端連結経路を利用して、DNA二本鎖切断中間体が修復される。53BP1は染色体の二本鎖切断部位へと迅速に誘導されるDNA損傷応答タンパク質で、そこでATM(ataxia telangiectasia mutated)キナーゼ、H2AX(ヒストンH2Aファミリーに属し、H2AFXとも呼ばれる)、MDC1(mediator of DNA damage checkpoint 1)の働きで起こる一連の現象に関与する。53BP1に依存する末端連結経路が報告されているが、この経路は、クラススイッチ組み換えには必要だがV(D)J組み換えには不可欠ではない。今回我々は、53BP1欠損リンパ球のV(D)J組み換えの連結段階には、これまで知られていなかった異常があることを報告する。この異常は、よく知られている非相同末端連結欠損マウス、H2ax欠損マウス、Mdc1欠損マウス、Atm欠損マウスにみられるものとは別の異常である。53BP1を欠損させると、遠位でのV-DJ連結がうまく行われず、修復されないコード末端の大規模な分解や、V(D)J連結部でのエピソーム性シグナルの接合箇所への再挿入が認められた。その結果、アポトーシスが起こり、T細胞受容体α遺伝子座が不完全になり、リンパ球減少症につながる。アポトーシスチェックポイントがさらに損なわれると、抗原受容体が破壊されたリンパ球が増殖する。これらのデータから示唆されるように、53BP1は、DNA切断部の長距離にわたる連結におけるゲノム安定性の維持に、これまで考えられていた以上に幅広い役割を果たしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度