Letter 遺伝:53BP1はクロマチンの可動性を増大させてテロメアの非相同末端結合を促進する 2008年11月27日 Nature 456, 7221 doi: 10.1038/nature07433 DNA二本鎖の切断によってATM(ataxia telangiectasia mutated)キナーゼは活性化され、それによって切断部位を取り囲むクロマチンへのDNA損傷因子の蓄積が促進される。その結果生じるDNA損傷フォーカスの機能的な重要性についてはよくわかっていない。今回我々は、DNA損傷フォーカスの成分の1つである53BP1(TRP53BP1としても知られる)が、クロマチンの動的挙動を変化させてDNA修復を促進することを示す。マウス細胞からシェルタリンの成分であるTRF2(TERF2としても知られる)を条件的欠失させ(TRF2fl/−)、それによってテロメアを脱保護した。この脱保護により、二本鎖切断の場合と同様にATMキナーゼが活性化され、53BP1が蓄積し、非相同末端結合(NHEJ)によるプロセシングを受けるようになる。53BP1欠損細胞でのTRF2欠失によって、機能不全テロメアのNHEJは、損傷を受けた染色体末端への53BP1の結合に強く依存することが確証された。さらに、53BP1によるNHEJの促進機序を調べるため、微速度顕微鏡撮影を用いて脱保護の前後におけるテロメアの動態を観察した。画像から、脱保護されたテロメアでは可動性が高まり、核内の広い領域を動き回ることが明らかになった。クロマチンの動態におけるこの変化は、53BP1とATMに依存したが、機能しているNHEJ経路は必要としなかった。我々は、DNA切断部位近傍への53BP1の結合により局所クロマチンの動的挙動が変化し、その結果、機能不全テロメアの結合や、免疫グロブリンのクラススイッチ組み換えにみられるAID(AICDAとしても知られる)誘発性の切断などの、離れた部位まで含むNHEJ修復反応が促進されると考える。 Full Text PDF 目次へ戻る