Letter 海洋:大西洋鉛直循環の10年スケールの変動に対するアガラス・リーケージの力学的影響 2008年11月27日 Nature 456, 7221 doi: 10.1038/nature07426 10年スケールの気候変化の予測には、南北方向の鉛直循環(MOC)を支配する力学の定量的な解明が必要である。MOCの変動の監視を目的とした包括的な海洋計測計画が亜熱帯北大西洋で行われており(北緯26.5度でのRAPIDと北緯16度でのMOVE)、季節内から経年までの時間スケールでの強い変動がみられている。過去数十年間にわたって大洋を横断する鉛直断面の計測があまり行われていないため、MOCによる輸送のさらに長期的な変動の観測証拠はまだ少ない。しかし、海面水温の長期的な記録に基づく推論はモデルシミュレーションによって裏付けられており、亜熱帯では10年スケールで±1.5〜3 Sv(1 Sv = 106 m3 s−1)の振幅の変動が示唆されている。このような変動は、大西洋亜寒帯域における深層水の形成、特に、ラブラドル海水の回転率の変動に起因するとされてきた。本論文では、10年スケールのMOC変動はさらに、南半球に起源をもつ別の影響も受けていることを示唆するモデルシミュレーションの結果を示す。すなわち、アフリカ南端のアガラス・リーケージ水域に起源をもつ力学的シグナルである。このシグナルは、北方起源のシグナルと同程度の大きさで熱帯・亜熱帯北大西洋のMOCシグナルに寄与する。したがって、観測されたMOCの変動を完全に合理的に説明するには、南からやってくるシグナルも考慮に入れる必要がある。 Full Text PDF 目次へ戻る