Letter 細胞:高速かつロバストで調整可能な人工遺伝子振動体 2008年11月27日 Nature 456, 7221 doi: 10.1038/nature07389 合成生物学の明確な目標の1つは、コンピューターモデルから得られた「設計仕様書」に従った遺伝子調節ネットワークの構築を可能にする工学的方法の開発である。このような方法は、特定の調節ネットワークが所定の表現型行動を生ずる仕組みを調べるための体系的な枠組みをもたらす。この方法により、トグルスイッチや振動体などの基本的な遺伝子回路が複数開発され、それらは誘導によるバイオフィルム形成や細胞集団制御のような新しい状況下で応用されている。本論文では、大腸菌内の人工的な遺伝子振動体について述べる。これは高速かつロバストで持続的であり、13分という短さの、調整可能な振動周期をもつ。この振動体は、連結した正負のフィードバックループからなる、既にモデル化されているネットワーク構造を用いて設計された。我々は、単一細胞観察用顕微鏡のマイクロ流体プラットフォームを用いて環境条件を精密に制御し、複数の周期にわたって個々の細胞の振動を測定した。実験により、設計された回路の振動は非常にロバストで持続的であることが明らかにされ、測定期間を通じてほぼすべての細胞に振幅の大きな蛍光の振動が認められた。振動周期は、誘導物質の濃度、温度、および培地組成の変化によって調整可能である。コンピューターによるモデル作製から、ロバストな振動体を作製するのに重要な設計原理は、負のフィードバックループの時間的遅れであることが示された。これは、機能性転写因子の形成に関与する細胞過程カスケードによって機械的に生じさせることが可能である。正のフィードバックループは振動のロバスト性を増し、調整可能性を向上させる。改善したモデルを調べて、正のフィードバックなしのもっと単純化した振動体設計が可能なことが示唆され、我々はコンピューターによるこの予測を確認する振動体株を構築している。 Full Text PDF 目次へ戻る