Letter 生理:マウスおよびヒトの腸パネート細胞でオートファジーおよびオートファジー遺伝子Atg16l1が果たす重要な役割 2008年11月13日 Nature 456, 7219 doi: 10.1038/nature07416 小腸の複雑な炎症性疾患であるクローン病に対する感受性は、30種以上の遺伝子座によって制御されている。クローン病のリスク要因となる対立遺伝子の1つは、酵母のオートファジーに必須なATG16遺伝子と相同なATG16L1遺伝子に存在する。ATG16L1またはオートファジーが腸の生物学的性質やクローン病の病因にどのように寄与するかについては、明らかにされていない。我々は、この問題を解明するために、ATG16L1タンパク質の発現が低いマウスを作製してその特性について検討し、このマウスを用いた研究に基づく結論を、クローン病のリスク要因となる対立遺伝子ATG16L1を保有するクローン病患者から採集した腸の組織を分析することによって確認した。本論文で我々は、ATG16L1が真のオートファジータンパク質であることを示す。回腸上皮組織内のパネート細胞は、腸内環境を変化させる抗菌ペプチドやその他のタンパク質を含む分泌顆粒を放出するなどの機能を有する特殊化した上皮細胞であるが、ATG16L1およびオートファジーに必須なもう1つのタンパク質ATG5のいずれもがパネート細胞特異的に重要である。ATG16L1とATG5を欠損するパネート細胞は、顆粒分泌経路に著しい異常が生じた。さらに転写解析から、ATG16L1を欠損するパネート細胞に特異的に、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)シグナル伝達系と脂質代謝に関与する遺伝子、急性相反応物質、並びに腸管損傷に対する応答に直接影響を与えることが知られている2種類のアディポサイトカインであるレプチンとアディポネクチンの発現増加をはじめとする、予想外の機能獲得が明らかになった。重要なことには、クローン病リスク要因である対立遺伝子ATG16L1がホモ接合であるクローン病患者では、オートファジータンパク質欠損マウスに類似したパネート細胞顆粒の異常と、レプチンタンパク質発現量の増加を認めた。以上より、ATG16L1と、おそらくオートファジーの過程は、マウスおよびクローン病患者の腸管上皮内で、パネート細胞がもつ細胞生物学的性質と特殊化した制御的特性に対して選択的に影響を及ぼすことにより、重要な役割を果たしている。 Full Text PDF 目次へ戻る