Letter 生態:気候変動とレミングの個体数周期との関係付け 2008年11月6日 Nature 456, 7218 doi: 10.1038/nature07442 北半球地方のげっ歯類の個体数周期は何百年にもわたって人々の頭を悩ませており、その影響は高山の生態系に広く認められる。気候変動は、動物の個体数変動が安定相と周期相の間を移行するのを促進させうることが知られており、これがげっ歯類とその捕食者の周期的動態に近年みられる変化の原因だと考えられている。しかし、フェノスカンディア地域におけるげっ歯類の個体数周期の原因は、捕食者とげっ歯類との相互作用だと一般的に考えられているが、自然系内でそのような動態調節に環境が果たす役割はほとんどわかっていない場合が多い。このため、気候に推進される諸過程とげっ歯類の動態は、これまで定量的に結びつけられることがなかった。本論文では、冬の天候および雪の条件と、正味の個体群成長速度の密度依存性とをあわせることで、ノルウェー高山の主要生息地のレミング(Lemmus lemmus;ノルウェーレミング)が優占するげっ歯類群集で1970〜1997年に観察された個体数変動を説明でき、1994年以降のげっ歯類ピークの消滅を予測できることを示す。これらの局地的なげっ歯類動態は、局地およびノルウェー南部全域の高山の鳥類動態と同期しており、冬季条件の大規模変動の影響と整合する。公開されている気象データと雪の条件との関係は、気温および湿度の変化、ひいては雪の下の空間の条件が、高山のげっ歯類およびそれに関連する集団の動態に大きく影響するらしいことを示している。したがって、規則性の乏しいげっ歯類ピークのパターン、およびそれに呼応した高山生態系全体の動態変化は、将来予測される気候変動のもとではさらに広い地域に当てはまるようになる可能性が高い。 Full Text PDF 目次へ戻る