Letter

遺伝:質量分析法を用いた一倍体および二倍体酵母の包括的プロテオーム定量

Nature 455, 7217 doi: 10.1038/nature07341

質量分析法は、多数の内在性タンパク質の解析に使われる強力な技術である。しかし、細胞のプロテオームの包括的な同定と相対的な定量に関連する解析の難しさは、これまで克服が不可能と考えられてきた。今回我々は、計算プロテオミクスの進歩、測定機器の性能の向上、および試料調製法の改善によって、一倍体の酵母の基本的にすべての内在性タンパク質のタンパク量を二倍体のものと比較した。我々の解析は、タンパク質の存在量においては4桁以上の範囲に及び、膜タンパク質であろうと低発現量の調節タンパク質であろうと無差別に行われた。SILAC(stable-isotope labelling by amino acids in cell culture)定量法がプロテオーム全体にわたって非常に正確であることは、大半の酵母タンパク質が1対1の比を示したことで示された。フェロモンシグナル伝達経路の主要メンバーは、一倍体酵母に特異的であったが、その他には相異は認められなかったことから、これが接合反応の効率的な制御機構であることが示唆される。レトロトランスポゾンに関与する数種のタンパク質は、一倍体酵母に特異的であった。遺伝子オントロジー解析から、細胞壁成分の著しい変化が示されたが、これは、二倍体細胞の体積は一倍体細胞の2倍であるが、表面積は2倍ではないという幾何学的考察と一致する。トランスクリプトームの量は、全体的プロテオーム変化とはほとんど一致しなかった。しかし、信頼性の低いマイクロアレイ測定値を除外すると、メッセンジャーRNAの変化とSILACの比の間には、フェロモンシグナル伝達経路の成分では非常に高い関連がみられた。システム全体にわたるタンパク質レベルを直接正確に定量することは、ポストゲノムおよびシステム生物学の新たな展望を開くものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度