Letter 材料:脆性結晶における低速破壊不安定性 2008年10月30日 Nature 455, 7217 doi: 10.1038/nature07297 脆性材料に強度限界まで負荷をかけると、その材料は亀裂の核形成および伝播によって破壊される。亀裂伝播の条件は、亀裂先端領域における応力集中によって生じ、試料の形状やサイズなどの巨視的パラメーターに依存する。しかし、亀裂伝播の仕方は、専ら原子スケールの現象によって決定される。なぜなら、脆性亀裂の先端は、原子レベルでとがっており、移動する亀裂前縁の各点でさまざまな向きの原子間結合を1回に1つずつ切断することによって伝播するからである。複数の長さスケールの物理的相互作用によって、脆性破壊は複雑な「マルチスケール」現象となる。例えば、微小欠陥や粒界が存在するなどのより複雑な状況では、いくつかの中間的スケールが生じる可能性がある。亀裂が高速で伝播する際にさまざまな不安定性が発生することはよく知られており、その起源の解明には最近著しい進歩がみられる。今回我々は、量子力学的ハイブリッド・マルチスケール・モデリングおよび単結晶破壊実験により、シリコンにおける低速伝播時の不安定性について検討する。我々のシミュレーションは、通常最も安定なへき開面と考えられている(111)面上での低速亀裂伝播を不安定にする亀裂先端の再構成を予測している。この不安定性が低速域で観測される実験を、低引張荷重下の破壊を調べるためにデザインされた実験技術を用いて行った。さらなるシミュレーションによって、中程度に高速の場合、これまで実験で観測されたように(110)面上での亀裂伝播が不安定になり、(111)面上へそれる理由が説明される。 Full Text PDF 目次へ戻る