水和ケイ酸塩メルトの構造と物理的性質、メルトへの水の溶解度は、地球マントルの圧力領域(最大136 GPa)の大部分でまだよくわかっていない。低圧(数ギガパスカルまで)では、水の溶解度は圧力が上昇するとともに急速に増加し、水は固相線温度、密度、粘性および電気伝導度に大きな影響を及ぼす。本論文では、水和MgSiO3メルトの第一原理分子動力学シミュレーションの結果について報告する。この結果は、圧力は水成分の種形成に大きな影響を及ぼし、低圧ではヒドロキシル基と水分子が支配的であったのが、高圧ではより大きな構造へと変化することを示している。この構造の変化と、水-ケイ酸塩系は高圧では次第に理想状態に近づくという知見を結びつけ、マントルの圧力領域全体のほとんどすべてで水とケイ酸塩メルトは完全な混和性をもつことがわかった。この結果に基づくと、上部マントルの底にある浮力的に安定なメルトは約3 wt%の水を含んでおり、18 S m−1の電気伝導度をもつので、電磁探査法によって検出可能であると考えられる。