Letter 物性:銅酸化物超伝導体の光電子放出にみられるキンクへのフォノンの小さな寄与 2008年4月24日 Nature 452, 7190 doi: 10.1038/nature06874 銅酸化物における高温超伝導の起源は、20年間にわたる集中的な研究にもかかわらず、依然としてはっきりしない。角度分解光電子放出分光実験の結果から、結合エネルギー50〜80 meVで銅酸化物の電子状態の分散関係(エネルギー対波数ベクトル)にキンク(折れ曲がり)があることが明らかになっており、この異常が高温超伝導を理解する鍵になるかもしれないという期待が高まっている。キンクは、電子とボソン場の相互作用に基づいて解釈されることが多い。このボソンの性質に関して(あるいはボソンモデルが適切かどうかに関してさえ)一致した意見はないが、考えられる候補として、フォノンとスピンゆらぎが挙げられてきた。今回我々は、La2-xSrxCuO4の光電子放出スペクトルにおけるフォノンおよび電子-フォノン相互作用の役割に関する第一原理計算について報告する。標準的定式化の範囲内で我々が行った計算では、電子エネルギーとフェルミ速度のフォノンによる繰り込みは、光電子放出実験で観測された効果よりほぼ1桁小さいことが示される。したがって我々の結果は、測定されたキンクの唯一の起源として、バルクLa2-xSrxCuO4における電子-フォノン相互作用は考慮できないとするものである。我々の結論は、関連化合物YBa2Cu3O7に関する最近の研究で独立に到達した結論と一致している。 Full Text PDF 目次へ戻る