Letter 遺伝:ヒトNPYの発現の遺伝的差異がストレス応答と情動に影響を与える 2008年4月24日 Nature 452, 7190 doi: 10.1038/nature06858 ストレス応答の個人差を理解するためには、情動刺激に対する複雑な行動や脳領域の代謝反応など、複数の表現型レベルでの遺伝的な影響を解明する必要がある。ニューロペプチドY(NPY)には抗不安作用があり、ストレスによってその放出が誘導される。NPYは、覚醒および刺激や記憶に対して喚起される情動価に関与する大脳辺縁系の領域に、豊富に発現している。本論文では、ハプロタイプで決まるNPYの発現から情動やストレス負荷に対する脳の反応が予測されること、また、NPYの発現が特性不安と逆相関することも示す。NPYのハプロタイプから、死後の脳とリンパ芽球でのNPYメッセンジャーRNAレベルと、血漿NPYレベルが予測された。NPY発現が低いハプロタイプの場合、さまざまな脳領域で痛み/ストレスに誘導される内因性オピオイド神経伝達の活性化による評価から、情動により誘発される扁桃核の活性化がより高いこと、および回復力の消失が予測された。プロモーター領域に位置する一塩基多型(SNP rs16147)は、in vitroでNPYの発現を変化させることから、in vivoでの発現の差異の半分以上がこれで説明できると考えられる。以上の結果はすべて、NPYが不安を軽減するペプチドとして働くことを示唆しており、多くの疾患のリスク因子であるストレスに対する回復力の個人差を説明する助けとなる。 Full Text PDF 目次へ戻る