Letter 物性:クロムにおけるスピン密度波の量子化と磁壁の電気的影響 2008年4月17日 Nature 452, 7189 doi: 10.1038/nature06826 強磁性材料の電気的特性の決定における磁区(および磁区間の壁)の役割は、長年にわたって極めて詳細に研究されてきた。特に、「スピントロニック」デバイスでは、磁区の制御が電子スピンを操作し、電荷輸送を制御する手段となるからである。対照的に、磁区と磁壁が反強磁性体の電気的特性に及ぼす影響はあまり注目されてこなかった。反強磁性磁区は正味の外部磁気モーメントを示さないので、操作や精査が困難なためである。今回我々は、単純な金属であり、典型的なスピン密度波反強磁性体であるクロムで、スピン密度波の形成と反強磁性磁区の存在に直接関係する挙動を示す電気的測定結果が得られたことを報告する。縦抵抗率とホール抵抗率の両方に2種類の温度ヒステリシスが観察され、第一の温度ヒステリシスは有限膜厚によるスピン密度波の量子化によって説明でき(X線回折測定によって確認された)、第二の温度ヒステリシスは電子の磁壁散乱によって説明できる。また、リード線構成(メゾスコピック効果)がスピン密度波状態にある巨視的試料の抵抗率に顕著な影響を及ぼすことも確認された。今回の結果は、膜厚と磁壁の電気的影響は調整可能であり、強磁性体でみられる最高のものと同程度であることを明らかにしているという点で、実用的見地から重要であると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る