Letter 生化学:NAD合成酵素NMNATは神経変性を防護するシャペロンとして作用する 2008年4月17日 Nature 452, 7189 doi: 10.1038/nature06721 神経変性は、遺伝的または環境的要因によって誘発される場合がある。その正確な原因はしばしば不明であるが、多くの神経変性疾患は、タンパク質の凝集や年齢依存性などの特徴が共通している。ショウジョウバエを用いた最近の研究で、活動誘導性の神経変性、並びに損傷誘導性の軸索変性に対するNAD合成酵素NMNAT(nicotinamide mononucleotide adenylyltransferase)の保護作用が明らかにされている。本論文では、NMNATの過剰発現が脊髄小脳性運動失調症1型(SCA1)による神経変性に対しても同様の保護作用を示すことを明らかにし、NMNATが一般的な神経保護作用をもつことを示唆する。NMNATの神経変性防護作用の一部はプロテアソーム介在性の経路を介しており、これは熱ショックタンパク質70(Hsp70)に類似する様式である。NMNATは、生化学解析でも培養細胞でもシャペロンとしての機能を示し、既知のシャペロンと構造が非常によく似ている。さらに脳では、伸長ポリグルタミン領域を含むタンパク質の発現上昇につれて発現量が増加し、シャペロンHsp70と共にタンパク質凝集体へと動員される。今回の結果は、NMNATが神経細胞の維持と保護の働きをするシャペロンとして機能するストレス応答タンパク質であることを示している。本研究は、正常なニューロンが活動を維持する仕組みを解明するための糸口を与え、異なる神経変性症状に共通する機序を解明する手がかりを提供するものである。 Full Text PDF 目次へ戻る