Article 細胞:真菌の多剤耐性を制御する核受容体様経路 2008年4月3日 Nature 452, 7187 doi: 10.1038/nature06836 移植レシピエントや細胞傷害性化学療法を受けているがん患者など、免疫無防備状態の人を苦しめることがしばしばである日和見真菌感染症の治療では、多剤耐性(MDR)が深刻な問題となっている。病原性真菌のMDRを制御する分子経路の解明が進めば、こうした厄介な感染症に対処するための新たな治療法の開発が促進されるはずである。MDRは、真菌の亜鉛クラスター転写因子ファミリーに属する分子(Pdr1pオーソログなど)が薬物排出ポンプを上方制御することに起因する場合が多い。しかし、その分子機構はほとんど解明されていない。本論文では、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)およびヒト病原性真菌のCandida glabrataのPdr1pファミリーに属する分子がさまざまな構造の薬物および外因性化学物質と直接結合し、薬物排出ポンプの発現とMDRの誘導を促進することを示す。これは脊椎動物でのPXR核受容体によるMDR制御と機構的に類似しており、真菌および後生動物がもつMDR制御因子の意外な機能的類似性が明らかになったことは注目すべきである。また、抗真菌薬/外因性化学物質に依存的なMDR制御では、Mediator活性化補助因子のGal11p/MED15サブユニット、および同サブユニットにあって活性化因子と結合するKIXドメインが極めて重要で特異的な役割を果たしていることも明らかになった。真菌がもつ核受容体様の遺伝子調節経路の機構がこのように詳細に解明されたことで、多剤耐性真菌による感染症治療のための新たな標的が得られる。 Full Text PDF 目次へ戻る