Letter 物理:荷電B中間子崩壊と中性B中間子崩壊における直接的電荷-パリティの破れの相違 2008年3月20日 Nature 452, 7185 doi: 10.1038/nature06827 物質と反物質は、ビックバンで等しく生成されたと予測されているが、我々が観測する宇宙では明らかに物質の方が圧倒的に多い。この反物質消滅を理解する前提条件の1つが電荷-パリティ(CP)対称性の破れである。これまで2種類のCPの破れが中性K中間子(K0)系とB中間子(B0)系で観測されている。すなわち、K0とその反粒子K-0(そしてB0とB-0に対しても同様)との混合が関係するCPの破れと、各中間子の崩壊における直接的CPの破れである。いずれの型のCPの破れでも、観測される大きさはB0中間子系の方がずっと大きいが、これらの効果は素粒子物理学の標準理論と矛盾しない。標準理論ではCPの破れは唯一の源より生じるが、その効果は小さ過ぎて、我々の宇宙における物質の優位性を説明できないことが知られている。本論文では、荷電B±→K±π0崩壊における直接的CPの破れが、対応する中性B0崩壊の場合とは異なることを報告する。直接的CPの破れの大きさを示す崩壊率の非対称性、AK±π0(すなわち、観測したB-→K-π0イベント数とB+→K+ π0イベント数の差をこれらのイベントの総数で規格化した量)を約+7%と測定した。測定誤差は過去の測定結果に比べ1.7分の1に小さくなった。しかし、B-0→K- π+とB0→K+ π-の非対称性AK±π-+は-10%のレベルであった。このような荷電B中間子と中性B中間子の崩壊における直接的CPの破れの大きな相違は、強い相互作用の影響による可能性もありさらに解明する必要があるが、標準理論を超える新しいCPの破れの源を示している可能性も高い。この結果は、我々の宇宙における物質の優位性を説明するのに役立つであろう。 Full Text PDF 目次へ戻る