Letter

腫瘍:SCFβ-TRCPはRESTの分解を介してがん化と神経分化を制御する

Nature 452, 7185 doi: 10.1038/nature06780

REST(RE1-silencing transcription factor、別名NRSF)は、非神経細胞系統においてニューロン遺伝子の発現やニューロンのプログラムを抑制する主要な因子である。最近、RESTは上皮組織でのヒト腫瘍抑制因子であることが突き止められ、RESTによる調節は生理学的にも病理学的にも重要であることが示唆された。しかしながら、RESTを制御する経路は明らかにされていない。本論文では、RESTがユビキチンを介するタンパク質分解によって制御されていることを示す。また、RNA干渉(RNAi)スクリーニングを用いて、Fボックスタンパク質であるβ-TRCPを含む Skp1-Cul1-Fボックスタンパク質複合体(SCFβ-TRCP)がE3ユビキチンリガーゼとして働き、RESTの分解を引き起こすことを明らかにする。β-TRCPはRESTに結合してユビキチン化し、保存されたphospho-degron領域を介してRESTの安定性を制御する。神経分化の過程で、RESTはβ-TRCP依存的に分解される。β-TRCPが正常な神経分化に必要とされるのはRESTが存在している場合のみであり、このことは、β-TRCPがRESTの分解を介してこの過程を促進していることを示している。逆に、RESTを分解できない場合には神経分化が抑制される。さらに我々は、ヒト上皮系のがんに多くみられるβ-TRCPの過剰発現がヒトの乳腺上皮細胞のがん化を引き起こすこと、そしてこのがん化にはRESTの分解が必要であることを見いだした。したがって、RESTはβ-TRCPが引き起こす形質転換での重要な標的であり、β-TRCP-RESTの系は神経の発生を制御する新たな調節経路である。

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