Letter 生態:現代のストロマロライトとトロンボライトに存在するファージの生物多様性と生物地理学的性質 2008年3月20日 Nature 452, 7185 doi: 10.1038/nature06735 ウイルス、なかでもファージ(細菌に感染するウイルス)は、水中および陸上の環境に最も多く存在する生物の1つである。ファージの生物地理学が研究されるようになったのはごく最近のことであり、これまでにファージの遺伝物質(または遺伝子型)は全世界的に分布していることが示されてきている。今回我々は、現代の微生物岩(地球上で最も古くからある生命形態の1つの生きた見本)に存在するファージ群集の解析によって、この汎存的分布に取り組んだ。海洋(バハマ諸島のハイボーンケイ)および淡水(メキシコのポザス・アズレスIIおよびリオ・メスキテス)の微生物岩のウイルス群集を対象とする比較メタゲノム解析により、ファージの遺伝子型には地理的に限定されたもののあることが明らかになった。この3つのメタゲノムから回収された未知の塩基配列の比率が高いこと(>97%)や、他の環境のウイルスメタゲノム(n=42)および微生物メタゲノム(n=36)由来の塩基配列との類似性が低いこと、微生物岩の間で共通のウイルス遺伝子型が存在しないことは、これらの環境でのウイルスの遺伝的独自性を示している。ハイボーンケイのメタゲノムで同定可能な塩基配列は一本鎖DNAの小型ファージ群に優占されており、この小型ファージ群は海水、淡水、堆積物、陸上、極限環境、後生動物関連、および海洋性の微生物マットなど、今回分析した他のどの試料からも検出されなかった。また、ポザス・アズレスIIの微生物岩の環境は数千万年にわたって海洋から離れていたにもかかわらず、ファージ群集には海洋性の痕跡が存在した。総合すると今回の結果は、現代の微生物岩に存在するウイルスが生物地理学的な変動性を示すことを実証しており、これらのウイルスが太古の1つの群集に由来したものである可能性を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る