Letter 構造生物学:原核生物の五量体リガンド作動性イオンチャネルのX線構造 2008年3月20日 Nature 452, 7185 doi: 10.1038/nature06717 五量体リガンド作動性イオンチャネル(pLGIC)は、化学シナプスでの電気的シグナルへの変換の早期過程にかかわる重要な因子である。このファミリーは、チャネルタンパク質が作る保存された格子垣状の構造をコードしており、チャネルタンパク質は神経伝達分子の結合に応答して開口する。このファミリーのタンパク質はすべて、同一あるいは同種のサブユニットからなる五量体構造が共通であり、サブユニットは、細胞外のリガンド結合ドメインとこれに続く膜貫通チャネルドメインからなる。pLGICファミリーの中で最も詳しく研究されているのはニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)である。構造情報に関する2つの研究から、このファミリーの構造上の枠組みが示された。可溶性のアセチルコリン結合タンパク質(AChBP)の構造から、細胞外領域の構成が決められ、リガンド結合の化学的基盤が明らかになった。シビレエイ(Torpedo)から単離したnAChRの電子顕微鏡研究からは全長タンパク質像が得られており、これから最近、分解能4.0 Åの電子密度地図の解釈が行われた。豊富な実験的情報にもかかわらず、このファミリーで高分解能の構造が明らかにされているメンバーは、今のところ存在しない。pLGICは最近まで多細胞真核生物にのみ発現すると考えられていたが、多数の原核生物のゲノム配列が解読されたことから、細菌でもいくつかの相同タンパク質が同定された。今回我々は、エルウィニア属の細菌であるErwinia chrysanthemi由来の原核生物pLGIC(ELIC)の分解能3.3 ÅでのX線構造を報告する。本研究はpLGICの構造を高分解能で示した最初の報告であり、このファミリーでのイオン透過性やチャネル開閉の一般的機構を研究する重要なモデル系となる。 Full Text PDF 目次へ戻る