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細胞:β-TrCP-REST-Mad2系による染色体安定性の制御

Nature 452, 7185 doi: 10.1038/nature06641

REST/NRSF(repressor-element-1-silencing transcription factor/neuron-restrictive silencing factor)は、RE1部位をもつ遺伝子の転写を抑制する負の調節因子である。RESTは、ニューロン以外の細胞と神経幹細胞/ニューロン前駆細胞で発現し、ニューロン特異的遺伝子の発現を阻害する。ヒトの髄芽種や神経芽細胞腫ではRESTの過剰発現がみられることが多く、腫瘍細胞の幹細胞性を保つ働きをしていると考えられている。RESTとc-Mycを発現するよう操作したマウス小脳の神経幹細胞は分化できなくなり、腫瘍を発生する。カルボキシ末端が欠失したRESTスプライス変異体の発現は、神経細胞系腫瘍や小細胞肺癌につながるとされており、また同様に、C末端部分が短く切れたフレームシフト変異体(REST-FS)も発がん性を示す。今回我々は、偏りのないスクリーニングを行って、RESTがF-ボックスタンパク質β-TrCPと相互作用する因子であることを明らかにした。RESTが細胞周期のG2期にユビキチンリガーゼSCFβ-TrCPによって分解されると、紡錘体集合チェックポイントの必須成分であるMad2の転写抑制が解除できるようになる。β-TrCPに結合できない安定なREST変異体を培養細胞で発現させると、Mad2の発現が阻害され、Mad2+/−細胞と類似した表現型が生じた。特に、紡錘体チェックポイントの不完全な活性化と同じ欠陥が観察された。例えば、有糸分裂の短縮、姉妹染色分体の早期分離時期尚早な分離、後期における染色体の架橋や分離異常、四倍性、紡錘体阻害剤存在下での有糸分裂からの離脱の加速などである。腫瘍誘発性を示すREST-FS変異体はβ-TrCPに結合しないが、これを発現させることによっても、全く同じような表現型が観察された。したがって、G2期にSCFβ-TrCPに依存して起こるRESTの分解が紡錘体チェックポイントの最適な活性化を可能にしており、その結果、このようなREST分解が正確な有糸分裂に不可欠となる。ヒトのある種のがんではREST量が多かったり、RESTの短縮型変異体がみられたりするが、これがゲノムの不安定性を高めることによって細胞の形質転換を促しているのかもしれない。

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