Letter 発生:環境ストレス下での細胞形態の維持 2008年3月20日 Nature 452, 7185 doi: 10.1038/nature06603 細胞の形と正常な状態の維持は、細胞や組織の機能や生存に不可欠である。機械電気変換は、微小な機械力を忠実度の高い高精度な電気応答へ変換することによっている。機械刺激受容器が刺激されると機械感受性の陽イオンチャネルが開き、内向きに変換電流が流れて細胞を脱分極する。この過程を効果的に行うには、変換装置が完全性を保持し、環境変化とは常に全く関係ないようにしておかなければならない。環境温度の変化が機械刺激受容ニューロンの機能に影響すると思われる変温動物では、これは特に難しい問題である。そこで我々は、生息環境の温度が急激に数十度も変化することがある昆虫が、極めて効果的な機械刺激感覚をどのようにして維持しているのかを調べることにした。ショウジョウバエ(Drosophila)を用いて、周囲の温度上昇に対して機械刺激応答に異常がみられる変異体をスクリーニングし、熱による浸透圧の平衡異常から生じる大規模な細胞変形から機械刺激受容器官を守る役割をもつspamという遺伝子を同定した。本論文では、Spamタンパク質が、環境からの損傷に対して機械刺激知覚ニューロンを保護する細胞外の防御壁を形成していることを示す。異種的に発現させたSpamタンパク質は意外にも、他の細胞に物理的、化学的に引き起こされた変形に対する優れた防御力を与える。Spam被覆の機械的影響を調べたところ、Spamで覆われた細胞は覆われていない細胞に比べて最大で10倍の強度をもつことが示された。これらの結果は、変温生物が環境ストレスを受けた際に重要な細胞の構造を維持する仕組みの説明に役立ち、このような難問に対する見事で簡明な解決法を明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る