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気候:メキシコ湾流が対流圏へ及ぼす影響

Nature 452, 7184 doi: 10.1038/nature06690

メキシコ湾流は大量の熱を熱帯から中高緯度域へ輸送し、それによって低気圧の発生や下層雲の形成などの気象現象に影響を及ぼす。しかし、月単位あるいはそれ以上長い時間スケールで気候に及ぼす影響は、いまだにほとんど解明されていない。特に、この暖流が海洋の大気境界層より上の自由大気にどのような影響を及ぼすかは明らかでない。本論文では、現業気象解析、衛星観測、大気大循環モデルを組み合わせて、メキシコ湾流が対流圏へ及ぼす影響について考察した。その結果、メキシコ湾流は対流圏全体に影響を及ぼすことが明らかになった。海上の境界層では、大気圧が海面気温の急峻な勾配によって調節されることで海表面の風の収束をもたらし、収束はさらにメキシコ湾流に沿う狭い降水帯の根となっている。この降水帯では、非常に低い雲頂温度が頻繁にみられることから裏づけられるように、上昇運動と雲の形成が上部対流圏にまで及ぶ。これらの物理機構は、メキシコ湾流が局所的な大気に、またおそらくは惑星スケールの波動を生じさせることによって遠くの大気にも、影響を及ぼす経路となる。この物理機構が明らかになったことは、気候変化に不可欠な過程の解明にかかわってくる可能性がある。なぜなら、メキシコ湾流は大西洋における深層循環の上部の流れを構成しているからで、過去には深層循環の強さが変動しており、将来は人為起源の地球温暖化に応答して弱まると予測されている。

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