Letter

細胞:ペプチド脱ホルミル酵素-リボソーム複合体により明らかになる新生ペプチド鎖のプロセシング機構

Nature 452, 7183 doi: 10.1038/nature06683

メッセンジャーRNAに基づいたタンパク質合成はリボソームによって行われる。真正細菌でこの複雑な過程を開始するのは、ホルミルメチオニンを結合した特殊な転移RNA(tRNAfMet)である。細菌のあらゆる新生ポリペプチドにあるこのアミノ末端のホルミルメチオニンは、反応性の高いアミノ基を保護して、望ましくない副反応を防ぎ、翻訳開始の効率を高めている。新生ペプチド鎖をプロセシングする最初の酵素的因子はペプチド脱ホルミル酵素(PDF)で、新たに合成されたポリペプチド鎖がリボソームの穴から外へ出てくるとすぐに、本来の折りたたみ構造をとる前にホルミル基を除去する。折りたたみによってN末端が内部に埋まってしまう可能性があるからである。次に、このN末端のメチオニンをメチオニンアミノペプチダーゼが切り取る。細菌のPDFは、保存されたN末端触媒ドメインを共通にもつメタロプロテアーゼである。大腸菌をはじめとするグラム陰性菌はすべて、カルボキシ末端に延長部分としてα-ヘリックスをもつことを特徴とする1型PDFである。PDFがリボソームと同時精製されることは初期の研究で指摘されているにもかかわらず、抗菌剤の標的としてPDFに着目した研究では、PDFの作用が翻訳と同調する仕組みは明らかにされなかった。本論文では、大腸菌のPDFがC末端のヘリックス延長部分を介してリボソームと直接結合することを示す生化学的な証拠を提示する。PDFのリボソーム結合ヘリックスとリボソームとの複合体の分解能3.7 Åでの結晶学的解析により得られた構造から、リボソームから出てくる新生ペプチド鎖を翻訳と同調して効率よくプロセシングできるよう、酵素は活性部位をリボソームの穴の出口に向けていることが明らかになった。さらに、PDFとリボソームの結合が細胞の生存能力を高めることもわかった。これらの結果は、タンパク質合成と新生ペプチド鎖の酵素によるプロセシングとの共役を理解する構造基盤となり、リボソーム関連シャペロンであるトリガー因子とPDFの相互作用を理解する手がかりとなるだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度