Article 海洋:海洋性珪藻がもつカドミウム含有カルボニックアンヒドラーゼの構造と金属置換 2008年3月6日 Nature 452, 7183 doi: 10.1038/nature06636 カルボニックアンヒドラーゼは、あらゆる界の生物にみられる亜鉛酵素で、二酸化炭素の可逆的水和を触媒しており、植物プランクトンでは無機炭素の獲得に用いられている。海洋では亜鉛が存在しないに等しく、珪藻はカドミウム含有カルボニックアンヒドラーゼ(CDCA)の形でカドミウムを触媒金属原子として用いている。本論文では、CDCAのカドミウム結合型、亜鉛結合型、金属非含有型、および酢酸塩結合型の4種類の結晶構造を報告する。CDCAは、機能性のβカルボニックアンヒドラーゼ二量体と配列に相同性が認められないものの構造はよく似ており、特に活性部位残基の空間的配置が酷似している。CDCAの活性部位でカドミウムと亜鉛が容易に置換されることは、海洋生活に対する独特の適応と考えられ、金属非存在時に金属配位部位が安定的に開放されていることで、これが説明される。珪藻は深海への炭素輸送で中心的役割を担っており、珪藻が炭素獲得に不可欠な酵素にカドミウムを用いていることは、地球全体のカドミウム循環と炭素循環の間に興味深い関係を作り出している。 Full Text PDF 目次へ戻る