Letter 生理:低温電子顕微鏡によって明らかになった感染性ε15ウイルスキャプシドの骨格構造 2008年2月28日 Nature 451, 7182 doi: 10.1038/nature06665 タンパク質の3次元結晶構造が初めて決定されてから50年が経った現在では、単一のポリペチドから大きな会合体までの40,000を超える構造が報告されている。しかし、回折実験に使用できるような結晶の成長は、依然として結晶学上の難問である。今回我々は、22 MDaの巨大分子会合体である感染性イプシロン15(ε15)ウイルス粒子のキャプシドの、単粒子低温電子顕微鏡法による分解能4.5 Åの構造を報告する。得られた電子密度マップから、主要なキャプシドタンパク質であるgene product 7(gp7)の完全な骨格配置を構築した。gp7の構造は、配列に類似性がみられなかったにもかかわらず、尾部を有する他の二本鎖DNAウイルスのタンパク質の構造と似ていたが、gp7の2次構造要素のつながり方(トポロジー)は独自のものである。二回軸周辺にはgp7によるとは考えられない突出した形の電子密度が観察されたが、その後に行われたウイルス全体のプロテオーム解析によって、この電子密度は12 kDaのタンパク質であるgp10と同定された。gp10の構造、位置およびキャプシドへの結合能が高いことから、gp10二量体は隣接するキャプソメア間の分子ステープルとして働いて、粒子の安定性を確保していると考えられる。この方法は、ε15ウイルスだけでなく、ネイティブに近い溶液状態にある他の巨大分子会合体中のタンパク質サブユニットの骨格コンホメーションのモデリングを行うための新たな手法となるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る