Letter 細胞:PtdIns4,5P2によって調節される核ポリ(A)ポリメラーゼは特定のmRNAの発現を制御する 2008年2月21日 Nature 451, 7181 doi: 10.1038/nature06666 ホスホイノシチド類はシグナル伝達を行う脂質分子ファミリーで、真核生物の多くの細胞機能を調節している。ホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸(PtdIns4,5P2)はホスホイノシチドシグナル伝達回路の中心となる成分で、主としてI型ホスファチジルイノシトール4-リン酸5キナーゼ類(PIPKIα、PIPKIβ、PIPKIγ)によって作られる。ホスホイノシチドは細胞質で作用するほかに、核にも存在していくつかの機能を調節しているが、核の機能を直接調節する仕組みはまだ解明されていない。PIPKIは特定のタンパク質との結合を通じて細胞の機能を調節する。このようなタンパク質の多くはPtdIns4,5P2のエフェクターで、これがPIPKIを別々の細胞内区画へと誘導すると、特定のシグナル伝達経路の調節に必要なPtdIns4,5P2がその区画で一時的に生産される。今回、核のPtdIns4,5P2の役割を明らかにするために、核のPIPKIであるPIPKIαと結合するタンパク質の同定を試みた。本論文では、PIPKIαが核スペックルと共存することを明らかにし、これと相互作用する新しい非典型的ポリ(A)ポリメラーゼを同定してStar-PAP(nuclear speckle targeted PIPKIα regulated-poly(A) polymerase)と名づけ、さらにその活性がPtdIns4,5P2によって特異的に調節されることを明らかにした。Star-PAPとPIPKIαは複合体を形成して協同して機能し、重要な細胞保護酵素であるヘムオキシゲナーゼ-1をコードする転写産物や、他の酸化ストレス応答遺伝子の転写産物などを含む特定のmRNAの発現を、これらのmRNAの3′末端の形成調節によって制御する。これらのデータを総合すると、ホスホイノシチドシグナル伝達系は補完し合う経路とタンデムに働いて、Star-PAPの活性およびそれに続いて起こる標的mRNAの生合成を調節するというモデルが考えられる。これらの結果は、核のホスホイノシチドシグナルが統合される仕組みと、遺伝子発現を調節する方法の1つを明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る