Letter 脳:TLXを発現する成体神経幹細胞が学習・行動に果たす役割 2008年2月21日 Nature 451, 7181 doi: 10.1038/nature06562 ニューロンの生産は成体の脳でも続いており、例えば学習・記憶・運動・環境・ストレスなど、さまざまな外的刺激によって調節される可能性がある。新生したニューロンが移動し、神経回路中に選択的に組み込まれることは知られているが、これらの細胞がどのような分子的制御を受けているのか、また何らかの正常な脳機能に必要なのかといった問題は、未解決である。成体での神経幹細胞プールは、オーファン核受容体、TLXをもつ細胞からなっている。今回、マウスの遺伝学検討により、TLX(別名NR2E1)が、細胞の増殖と成長に関係するとされるある特定の遺伝子ネットワークの制御を通じて、成体神経幹細胞の増殖を細胞自律的に調節していることを示す。その結果、誘導的組み換え法によって成体マウス脳からTLXを特異的に除くと、神経幹細胞増殖の大幅な低下と空間学習の著しい減弱が起こった。一方、TLX除去の結果としてニューロン新生が抑制されても、文脈的恐怖学習や運動、日周リズム活動には変化がみられなかったことから、新生ニューロンは特定の認知機能に対してより選択的に寄与していると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る